青ペンコーチの佐々木です。
今回は本気の大人のもとに本気の子が育つと言うことで、解説して行きたいと思います。
順々に目標達成できない6大要因を解説してきましたが、今回はこの5番目の「本
気でない」というところです。
当然本気でなければ結果が出ないのは当たり前のことですが、より詳しく順を追って解説します。
成績を上げたいの?成績を上げるの?
まず「あなた本気ですか?」って聞かれたとして、自分は本気なのかどうかってなかなかわかりません。
つまり本気という尺度というのは、人によっても違うし、自分の中でも時間だとか取り組むものによって本気度が異なります。
共通のスケールがないので「あなた本気ですか?」と聞かれても「本気です。」「本気ではありません」とは答えることが難しいでしょう。
ですからそういう時には、単純にこう問いかけてください。
「君は成績を上げたいの?それとも君は成績を上げるの?」
この違いを聞くといいでしょう。お分かりの通り、その前者は希望です。そして後者は覚悟です。これがつまり本気だということです。
いい点取りたいだのか、いい点を取ると言うのか、どのような言葉を使うかによってそのお子さんの本気度が変わってきます。
じゃあ本気になって何がどう変わるのかですが、一番重要なのは”嫌い”ができるということです。
人間は別に子供に限らず嫌いなことをやっています。
例えば、朝の早起きが苦手だけれども、朝早く出ればあの人に会えるだとか、会に出てこういう情報が得られるなど、そういう嫌いなことを選択肢に入れられます。あるいは本気で覚悟を決めている人は嫌いな人に頭を下げて情報を取るだとかができます。だから結果も出ます。
嫌いができるとこういったことができます。
- START:何かを始める
- STOP:何かをやめるか
- CHANGE:何かを変える
コーチングの世界でこのことをSTART STOP CHANGEと言います。
START STOP CHANGEをやれば今までの成果と違うものが得られると分かっていても、覚悟を決めなければ計画止まりで終わってしまいます。ですから本気であることがまず大前提としてあるということです。
Noというには強いYesを持つ
そうすると時間マネージメント(時間をどうやりくりするかということ)が必ず大きなテーマとして降りかかります。
例えば、誰かに何か物を頼まれるその時にNoと言えるか?誰かから何かの誘いを受けたときNoと言えるか?
Noと言うことはストレスです。
特にお子さんであればここでNoと言ったら「あいつカッコつけやがって!あいつはもう呼ばないようにしようぜ!」みたいな形になってしまいます。
そうやってイメージできるとものすごくストレスになってなかなか言えない。
ではNo言わせるためにはどうすればよいのでしょうか?
一つはNoよりも圧倒的強いYesを持たせることです。なんであるイエスをイメージさせることです。
これはなかなか子供だけで持たせることは難しいです。我々人生経験の豊富な大人が「今ここでNoと言ったらこういうものが手に入る。すると君の将来がこんな風に変わっていくよ。こんな世界が得られるよ。」と丁寧に子どもの目線で説明することが重要になってきます。
親友ではなく真友を持とう
私がよく中高の進路支援で呼ばれる「親しい友人を持つのではなく、真の友を持とう」とお伝えします。
壇上から降りて子ども達に親しい友と真の友はどう違うと思う?とマイク渡しながら言うと、親しい友だったらふてくされるだろうし真の友だったら応援してもらえるんじゃないかと返してくれます。
ポイントは彼らにマイクを持たせているところです。私が言うのではなく、彼らから出てきた答えだと雰囲気作りするわけですよね。
もっといいのは、じゃあ一緒に勉強しようとお互いに切磋琢磨できるような関係を逆提案してくれるような友です。
そういう友こそが将来にわたって付き合える友達だと付言します。
やはり精神年齢の遅い早いはありますので「Noと言いたいけど言えない」とストレスを抱えているお子さんはたくさんいます。
ですから。こういうルール作りを私がしてあげると子供も言いやすくなるというメリットがあります。
これは非常にいい評価を頂いているものなので、ぜひ皆さん方でこういうことを友達とか自分のお子さんに問いかけしてみるといいのではないかなと思います。
学校でのパフォーマンス
もう一つ、私が学校に行って必ずやるパフォーマンスがあります。前回お伝えしたバケツの水を移し替えるというパフォーマンスとは別のもう一つです。
本気度についてのパフォーマンスで、一人で生徒壇上に上げて「思いっきり前屈してね!」と前屈をさせ、マーキングします。
その後に「じゃあ今度は黄色まで絶対いける!」という風に目を見てしっかりと言います。黄色というのは、前回マーキングしたときよりもさらに5センチ、10センチ下のところです。
それは生徒のあの身体能力だとか、顔の表情を見て、まあ何センチにするかで決めますが、その時のポイントは必ず人気者の生徒を選ぶことです。
そうすると、何が起こるかというとまずはまずプラシーボ効果ですよ。それからさらに良いのは人気者の生徒ですから周りがやんややんやと言います。すると「絶対できるぞ!」「頑張れよー!」というような声がもういろんなところから聞こえて大騒ぎになります。
そうすると不思議なもので、多くの生徒は何を始めるかというと、屈伸運動をしたり、甲足の裏の筋を伸ばしたりするんです。
これは最初に私が思いっきり前屈してねと言った時に起こらなかったような動作です。
でも具体的に目標ができてさらに自分のさっきよりもずっと先の成果を求められていると思ったら屈伸運動をやるんです。つまり、目標達成するまでになんの準備が必要かということを、彼は自分から自分で考えてやり始めます。
実際にどうなるかというと、ほとんどの場合が黄色のところまで到達します。黄色とりもっと下に行く場合もあります。中には黄色まで行かない場合もあるけれども、前回よりも必ず2,3cmは下に行きます。
あの運動機能的には一回も足の裏の筋が伸びているから伸びやすくなるというのもありますが、それ以上のパフォーマンスは脳の錯覚です。
自分はできると思うことでプラシーボ効果が得られ、周囲から「頑張れ!」「お前ならできる!」と言われることでピグマリオン効果が得られます。要するに内的外的のサンドイッチで攻めていくわけです。
それでさらに面白いのは、生徒によっては黄色まで行かなかったら足を曲げるんですよ。これはインチキですよ。インチキだけれども、僕はそこですかさず承認しますね。
「反則で黄色に到達したことは、学習に置き換えるとカンニングをして到達したということにもなるけれども、そうじゃないルールもあるよね。それって何かわかる?それきみ自身で決めたルールの場合だよ。要するに友達に誘われたら絶対に断らないだとか、あるいはこの時間は遊ぶだとかということ。でも君は目標を決めて設定して絶対に到達するっていったら足を曲げたよね。それってつまりルールを曲げるというのは生活習慣のルールを曲げるということの覚悟にも置き換えられるんだよ。」
これは目標を自分のキャパよりもちょっと大きめの数値を設定すれば、多くのことが可能だということです。
例えばこれが1科目5点だったら5科目あれば25点上がるね、ということをイメージさせます。
これはある東京の中学校でやったら実際に効果がありました。
このパフォーマンスをやった後に続けて、その学校にフォローで入りました。週に一回のコーチングで、日々に日記をつけてもらい、立てた目標に対してやってできたこととできなかったこと、なぜできなかったのかの記録のフィードバックをしました。
これは後日談で校長先生から聞いたんですけれども、東京でこの銭湯を経営している保護者から校長に「校長先生、最近うちの息子が銭湯の裏の大広間を借りて子どもらで勉強しとります。なんかあったんかね?こんなこと今まで一回もなかったね」みたいな感じで。
電話が入ったって言うんです。
案の定、成績は全体的に伸びました。そういうふうに何かを覚醒させて、ちゃんと後のフォローの体制がある状態で「本気でやるということはこういうことなんだ」とできるだけ年齢の低いうちから経験させておくと「じゃあ次はもっと伸ばしたい」というふうになります。
成功体験をできるだけ早く積ませてあげると言うのは我々大人の責任でもあると思います。
言ったからには引き受ける
こういうことを言うと、必ずこういう声が上がります。
「私もね、絶対出来ると言いたいですよ。でもね、なかなかそれはできないですよ・・・」
どうして?と聞き返すと、こういったことでした。
例えば、子どもの可能性を信じて一つ上の大学(高校・中学)を目指そう!と言うと、失敗した時に最近の保護者は必ず「先生が何とか狙えるっていったから受けたんです。失敗をどうしてくれるんですか!」のように責任を追及するようになっていますと。だから教員も保守的になってしまうということです。
1対40だとなかなか難しいところはあります。
ちなみに私の事例で言うと、通信制高校で子供達を支援してきたのですが、私の担当に結構ヘビーな問題を抱えている生徒さんが来ました。最初はコミュニケーションできない、外にも出られないという生徒さんでしたが、粘り強く対応していくと徐々に目を見てコミュニケーション出来るように、外にも出られるようになりました。
大学の進学を決めるときに、私は必ずワンランク上を目指すように進言をしていました。通信制と言っても、私の場合はAOに特化していて、一点突破でよいならこの子を絶対に伸ばせるという自信があったからです。
お子さんが自分達で頑張って、だいたいはワンランク上もしくは第二志望校には合格していきました。中には当然志望した高校に不合格だったという生徒もいます。ですが、私はただの1度もその保護者や生徒から恨みつらみを言われたことはありません。
それはなぜかと言うと「君、絶対に行けるから!」って目を見て言ったら、その分を僕も引き受けるからです
特にAOだったので、この子はこういうことを伸ばして行きたいなら、そこに必要な情報は何だろうかと考えます。
私が持っていなければ、私の知人の社会人に頭下げて頼みに行くだとか、あるいはその子が一人で外に出られないといった場合には、私も付き合って現場に立ち会うとかそういったことをやっていました。
言ったからには私も引き受けるので、それなりの行動を言行一致でやってきました。ですので失敗しても私に対してクレームは1度もありませんでした。むしろ本気でやることによって子供は明らかに変わりますから、その変化に対して感謝されることがありました。
ワースト5校からトップ5校へ
「それは佐々木さんが通信制の学校だったからでしょう?12,13人しか持ってなかったからでしょう?私たち40人よ。」と言われることがあります。
そのときには必ず広島の川本先生という方の事例を紹介しています。
川面の先生は広島で常にワースト5に入るような中学校の学年を受け持ったときにみんなを目の前にして「お前らを1年後には絶対日本トップにするけぇの!」ってこういう風に真剣に言ったわけです。
そんなこと言われたことがないから生徒達はまさかと思いながらも、先生が熱く語るものだから、その生徒たちもふっと顔を上げ始めて、もうキラキラした目で先生たちを見るようになりました。当然のことながら、先生は引き受けたわけだから、まず先生たちも巻き込まなきゃいけないということで、先生たちも本気にしていったということです。
そういう空気を作っていた結果、どうなったかというと、やっぱり1年後には県でトップ5に常にいるような中学校になりました。
実際、学力というものは学校の変化を定量評価できるので、教育委員会からも表彰を受けテレビにもたくさん取り上げられたといった事例があります。
確かに少人数の方が良いに越したことはありませんけれど、大人数は大人数で、大人数に向けて何かを言うことで、1対1で言う以上の効果がある場合もあるので、学級を持つ教員の方々もこういう事例を参考にしていただければと思います。
まとめ:本気でやるということ
今日の復習です。
一つ目は「嫌い」ができるかどうかを子どもに問うこと。
それが本気かどうかということです。つまり「良い成績とりたいの?とるの?どっち?」と迫るわけです。子どもは間違いなく取ると言うわけです。そこで取りたいというフワフワしている子はそうは居ないです。取ると言ったら、そこでSTART STOP CHANGEをどんどんかけていきます。
2つ目は今日のタイトルにもになった、大人も「引き受ける」覚悟をもつということです。
本気でない大人がいくら自分は安全なところにいて、お前頑張れよって言ったって、子供はあのそういう直感はありますので、機能しないだろうなと思います。大人が本気になるというのはかなりしんどいことではありますけれども、子どもを本気にするんだったら、やっぱそれなりの覚悟を大人が持たなければいけないとは思います。
以上です。引き続き次回は6大要因の目標と目的の違いといったようなところについて解説していきます。ぜひご覧ください。
本記事は以下の動画を元にしています。合わせてご覧ください。
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